夜と霧

決して楽しい本ではないけれど、感銘を受けました。印象に残った部分をいくつか。

強制収容所での過酷な生活を支えた心の持ち方について

人は強制収容所に人間をぶちこんですべてを奪うことができるが、たったひとつ、
あたえられた環境でいかにふるまうかという、人間としての最後の自由だけは奪えない。

わたしたちが過去の充実しいた生活のなか、豊かな経験のなかで実現し、
心の宝物としていることは、なにもだれも奪えないのだ

著者が迫られた発想の転換

生きることの意味を問うことをやめ、わたしたち自身が
問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。
(中略)
生きるとはつまり、生きることの問いに正しく答える義務、生きることが
各人に課す課題を果たす義務、時々刻々の要請を充たす義務を引き受けることに
ほかならない。

強制収容所から出て自由になった被収容者が、急に元の世界に戻って、
精神的なバランスを失ってしまうことについて

強制収容所の人間を精神的にしっかりさせるためには、未来の目的を
見つめさせること、つまり、人生が自分を待っている、だれかが自分を
待っていると、つねに思い出させることが重要だった。

夜と霧 新版

夜と霧 新版